1.照明の目的
照明の目的は、光を人間の生活に役立たせることにあります。
あらゆる生活環境において、これを快適にし視作業を容易にすることにより、作業効率の向上、作業安全の確保、職場管理の徹底、作業士気の向上などの効果が出るため、照度の検討は非常に重要です。
2.照度とは?
「照度」とは「光があたっている表面の単位面積当たりの光束の量」のことで、つまりその場所にどれだけの光が届いているかを示しています。
名前 | 単位 | 意味 |
照度 | lx(ルクス) | 照らされる場所の明るさのこと。 1ルクスとは1㎡の面積に1ルーメンの光束が入射している時の照度を表す。 |
光束 | lm(ルーメン) | 光の量のこと。 |
光度 | cd(カンデラ) | 光の強さのこと。 光源からある方向にどれだけの光の量が出ているかを表す。 |
輝度 | nt(ニト) cd/㎡ | 光源が広がりを持っているとき光源面の明るさを表す量。 1㎡当たり1カンデラの輝度を1ニトという。 |
3.照度と視力
照明方法が適当で、照明の質が良い場合は、照度が高い程視力がよくなり物が見やすくなり作業能率も上がります。しかし、照度が不足していますと、安全標識の誤認や疲労を招きやすくなり事故が増加します。そのため作業者の安全を守るためにも適切な照度確保が必要です。そこで、見えやすさを心理学的に計量化した結果が、以下のようになります。
また年齢と視力の関係については、高齢になりますと、目の水晶体の弾力性の低下や濁り、網膜の機能低下が起こります。このことから、高齢になるほど高い照度が必要となります。
4.グレア
視野内に過度に輝度の高い点や、面が見えることによって起こる障害をグレアとよび、これは不快感、目の疲労、見え方の低下などをひき起こします。照明器具の選定を行なう際には、まず、下記の表を用いてこれから設計する照明施設に適応したグレア分類を調べます。各グレア分類には、輝度の規制値が設定されていますので、その規制値と照明器具の輝度配光とを比較し、規制値を満足する照明器具を選定します。
5.プサリ(昼間人工照明)
プサリとは昼間の屋内照明において、窓から入ってくる昼光と室内の人工照明を快適かつ合理的に協調させて、よい照明環境を形成することを意味します。昼間人工照明の考え方は2つあります。
- A. 推奨必要照度を満すため、採光設計による昼光のみでは得られない不足を補う。
- B. 人工照明により室内の輝度を高め、空からのグレアを防ぐ。
プサリで重要なのは、Bの対策であり、目の順応を考慮すれば「窓外が明るいほど、室内の人工照明を明るくしなければならない」ということです。
6.照度基準
照度の選定については、各国において自国の経済状況や生活レベルに応じて自国に最も適した照度基準が決められています。我国ではJISにおいて、照度の推奨値として以下のような基準を設けています。したがって、照度基準や光源の効率、照明方式などを考慮して照度を選定する必要があります。
参考文献- ・照度基準(JIS Z 9110) 日本工業標準調査会
- ・照明学会編 : 照明ハンドブック8.4 ,プサリ,オーム社
- ・物理小事典 三省堂